「地元で作って、地元で食べる」——
これは食の安全や地域経済の観点から極めて重要です。
しかし、人口減少や市場縮小が進む今の日本では、それだけでは持続可能とは言えません。
そこで注目されるのが、「地産外商」という発想です。
宮崎で育てた食材を、県外・海外へ積極的に届けていく。
“地産地消”から“地産地商”へ。今、宮崎の農業はそのフェーズに入りつつあります。
宮崎の「外」にある市場
1. 都市圏・大消費地への出荷
東京・大阪・福岡などの大都市圏には、宮崎産の食材を求める飲食店、百貨店、スーパーが多数あります。
特に、「宮崎牛」「完熟マンゴー」「日向夏」「きんかん」「ピーマン」などはブランド力が高く、贈答や高付加価値商品としてのニーズも根強い。
自治体やJA、商工団体などによる「アンテナショップ」「物産展」「ふるさと納税」なども、消費者とのタッチポイントとして重要な役割を果たしています。
2. 海外輸出と“農の国際化”
宮崎県は農産物の輸出にも力を入れています。
特に以下の品目が輸出の主力となっています。
宮崎牛(香港、台湾、シンガポール、アメリカ、EU等)
完熟マンゴー(台湾、香港、東南アジアなど)
国産キャビア(アメリカ・中国・EU)
日本茶や柑橘類(世界は抹茶ブーム・・欧米・中東・ASEAN圏)
輸出額は年々増加しており、農水省の「輸出拡大戦略」のモデル地域にも選ばれた実績があります。しかし、輸出は決して簡単ではありません。
検疫や残留農薬の国際基準(GAP、HACCPなど)
安定供給体制
輸送・冷蔵インフラ
海外マーケティング・現地販路の確保
こうしたハードルを乗り越えながら、
民間企業・生産者・行政が一体となって“農業のグローバル展開”を模索しています。
今回は、農林水産省 九州農政局 小野寺局次長のご登壇をご用意しています。
外を向くことで、内の価値が見えてくる
「地元の人にとって当たり前の食材が、他所では“特別”になる」
これが、地産外商の一つの醍醐味です。
例えば、東京のフードショーで見た「日向夏のマーマレード」は、1瓶1,500円で販売されていました。
ある台湾の百貨店では、宮崎産マンゴーが1個15,000円以上で販売されていたこともあります。
単なる価格の話ではなく、それだけの物語性・品質・地域性が評価されているということ。
地元にとっては“普通”の作物も、「誰にどう届けるか」で新たな価値が生まれる。
だからこそ、地産地消と外商は対立軸ではなく、両輪であるべきなのです。
宮崎が目指す、農と食の“ハイブリッドモデル”
これからの地域農業に求められるのは、単一モデルではありません。
自給と外商、地域消費と輸出、それぞれの強みを活かしたハイブリッド戦略です。
宮崎県では既に以下のような動きが始まっています。
地場食材を全国の大手飲食チェーン店へ展開し観光へ繋げる(食と観光の連携)
商工・農業連携による加工品開発・6次産業化
若手生産者によるD2C(Direct to Consumer)型販売
オーガニック認証・GAP・輸出認証取得支援
世界農業遺産や日本農業遺構認定地域のストーリーブランディング
これらは、単なる“農業政策”ではなく、「地域経済の生態系づくり」でもあります。
あなたが選ぶその一品が、地域を支える
私たち消費者にできることは、実はとてもシンプルです。
県産品を選ぶ
ふるさと納税で地域を応援する
観光先で地場食材を味わう
国産/地域産を“ちょっと意識”して買い物する
「消費は投票だ」とよく言われますが、それは農業・地域経済でもまったく同じ。
あなたの選ぶその一品が、宮崎の未来をつくっているかもしれません。
宮崎発・次なる挑戦に注目を
地産地消の先へ。
輸出の先へ。
そして、地域に根差した“食の循環経済”へ。
日本の食の未来を考えるとき、宮崎県はきっとひとつのヒントになります。
そしてこのフードジャパンサミットからも多くのヒントが隠されてます。
都市と地方、内と外、生産者と消費者。そのすべてをつなぐ挑戦を登壇者と一緒にお話をして
次の未来・ビジネスへ繋ぎましょう。
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